2009年流行の新型インフルエンザについて

2009年のインフルエンザの流行には驚かされた。これまでの常識では、冬~春にのみ流行するものと思われていたが、春に新型がみつかってから、夏にインフルエンザが流行するとは思いもよらなかった。

報道機関は第一番目の事例を報道し、茨木市の大倉高校で集団感染が発覚した。看護師1例目は、大阪市箕面市立病院の29歳男性、医師1例目はさいたま市立病院の24歳女性研修医だった。

徳島県では、阿波踊りのあと患者が多発した。私の医院では、8月下旬から患者が確認されだした。9月上旬に患者が相次いで訪れ、最も多く、9月下旬には散発的となった。ほとんどが中・高校生だ。兄弟姉妹で感染しやすいが、うつっているのは20歳代までで、付き添って来院する30歳代以上の両親や祖父母には感染していないケースがほとんどだ。近所の中学と、高校の学校医をしているが、夏休み明け早々、その中学3年生は学年閉鎖に、高校1年の1クラスが学級閉鎖になった。文化祭、運動会などのシーズンなので、学級閉鎖にするとそのクラスの生徒は健常者までもが参加できないことになるので、学校としては苦渋の決断となる場合がある。

インフルエンザウイルスには様々なタイプがある。鳥どうし、豚どうしで感染するタイプ、ヒトの間で感染するタイプなど、種特有のタイプがいろいろあるのが基本だ。これは、ウイルスがくっつく受容体(アンテナのようなもの)が、ヒトと鳥、豚で異なるためである。ところが、一部変異して種を超えて、鳥、豚、ヒトの間を渡り歩くタイプができることがある。インフルエンザウイルスは8本の遺伝子からなる。ウイルスが感染して細胞に入ると、この8本の遺伝子がいったんバラバラになり、もう一度それぞれの遺伝子が再複製されて細胞の外に遊離していく。この時、別のタイプのインフルエンザウイルスに同時に感染した場合、2種類のウイルスの遺伝子(16本)がシャッフルされ、遺伝子交雑が起こって元のものとは違う新型の変異ウイルスが誕生する。

2009年春より新型として話題となったのは、ヒトに感染しやすくなった豚インフルエンザウイルスだ。このウイルスの起源は、豚インフルエンザと北アメリカの鳥インフルエンザおよびヒトのインフルエンザの3種が遺伝子再集合したタイプなのだ。

2009年の新型インフルエンザの臨床像は、10歳代を中心に小児からお年寄りまでほとんど全ての年齢で感染が起こっている。感染して発病するまでの潜伏期間は1~7日程度とされている。症状は大阪、神戸のケースでは、発熱、咳、咽頭痛など通常の季節性インフルエンザ症状と酷似しており、1-2割の症例で嘔吐や下痢などの消化器症状も見られている。多くの場合、軽症で推移する。すなわち、咳・くしゃみをしながら発熱し、安静にしているうちに4~5日ぐらいで回復というのが一般的なパターンだ。

ウイルスの増殖を抑制するタミフルやリレンザを服用すれば、症状のきつい期間が1~2日間短くなる。 なお、妊婦さん、および糖尿病や呼吸器病などの基礎疾患のある患者、小児の患者で重い肺炎など重症化するケースがまれにある(感染者の0.15%と推定されている)。発症から4~5日後くらいから急に悪化して呼吸困難になって人工呼吸器を要するに至る。新型インフルエンザの致死率は約0.4%と推定されており、通常の季節性インフルエンザに比して若干重症化しやすいといわれている。

高熱はたいていの患者に見られるので、遷延しない限り、高熱が危険な状態とは限らない。アメリカ疾病対策センター(CDC)から危険な兆候として警戒すべきものが発表されている。小児では、呼吸が速くなる。息があがる。顔色が蒼白になる。水分を十分に取れなくなる。目を開けられない。反応しない。イライラして抱っこを嫌がる。大人では、呼吸困難。息切れ。胸や腹に圧迫感や痛みを感じる。突然のめまい。思考が混乱する(注意力・決断力・記憶力低下)などである。小児、成人を問わず、しつこく激しい嘔吐や、インフルエンザ症状が一度改善した後、再び発熱と痰を伴った咳が見られる場合も要注意だ。

流行の予防は、予防接種および感染者との濃厚な接触をさけること。患者の使ったタオルやコップは感染源になるので分けるべきだ。患者はマスクを着用して咳エチケットを守ることが重要である。発症から1週間、解熱して2日目までがウイルス排泄されている可能性がある。インフルエンザは患者の咳やくしゃみなどによってウイルスが飛散し、上気道や肺でウイルスが増殖することで感染が成立する。

咳やくしゃみのしぶきは1-2m飛ぶので、学校では机と机の間の距離が狭いうえに、子供はじゃれ合ったり、至近距離で話し合ったりするので感染が広がりやすい。子供と意思の疎通に乏しいオヤジは感染を受けにくいといえよう。

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